
ピサと聞いて、多くの方が思い浮かべるのは Piazza dei Miracoli; 洗礼堂と大聖堂、鐘楼そして墓所回廊の建つ「奇跡の広場」でしょうか。
たしかにホワイトグレーの大理石でできた、レース模様のように美しい外装の建築群はロマネスク様式を代表するものとして有名ですが、せっかくピサに着いたのならアルノ川のすぐ近くに建てられた小さな教会、Chiesa di Santa Maria della Spina; サンタ・マリア・デッラ・スピーナ教会を訪れてみてはいかがでしょうか。
この教会は1230年ごろ、ピサのGualandi家のもとでピサ・ゴシックスタイルとして建立され、1325年以降に増築された教会です。もともとはサンタ・マリア通りとサンタントーニオ通りを結ぶ橋の近くに建てられ、Santa Maria di Pontenovo; 新しい橋のサンタ・マリア(或いはポンテノーヴォのサンタ・マリア)と呼ばれていました。
その橋は15世紀頃に崩落し、再建されることなく現在に至っています。
ところで新しい名前の「Spina; スピーナ」は イタリア語で「棘」のこと。
イエスが磔にされた時につけられた冠の聖遺物が1333年にもたらされたことに由来します。
現在この聖遺物は、同じピサのローマ通りにあるサンタ・キアーラ教会に保管されています。
というのも、以前この教会は今よりもアルノ川に近い高さに建てられていましたが、アルノ川の水量増加といった危険を回避するため、1871年に解体し、より安全なレべルに再建されたのです。
以前訪れた際には上記のような展示でしたが、現在ではまた展示内容が変わっているようです。
それにしてもこの縞模様、気になりますよね。なりませんか?
この建築スタイルは、以前 Cinque Terre の「リオマッジョーレの風景」という記事の最後の方でご紹介いたしました、教会の屋根や梁の要素に共通している雰囲気があります。
そしてこのストライプの要素もまた、中世のイタリア半島で海洋国家があった地域によく見られる教会の建築スタイルです。
ニーノ・ピサーノの彫刻(複製)も展示してあります。本物はピサのサン・マテオ国立博物館に保管してあるとのこと。ニーノといえばアンドレア・ピサーノの息子。この教会の様々な彫刻デザインにも親子で携わっています。